檜風呂に入浴して
〜生活意欲が向上した一事例〜
 
市町村・所属:甲府市・老人保健施設 NAC湯村介護職員
発表者:赤池 久美子(アカイケ  クミコ)
共同研究者:宮澤 貴子・南山 朋子
【はじめに】
 当施設は、閑静な住宅街に囲まれ、自然環境にも恵まれた湯村温泉郷内にある。良質で豊富な湯量を誇る温泉を利用した一般浴・特殊浴・露天風呂の他に、檜で造られた家庭サイズのお風呂(中間浴)もある。入所者の可能な限り、これまで慣れ親しんできた家庭サイズのお風呂に入ることで、生活リハビリやADLの向上に結びつくと考え、援助している。そこで、よい結果の得られた事例を紹介する。
 
 
【事例紹介】
 K.K氏 84歳 男性
 8年前の脳梗塞により右片麻痺、構音障害となる。
〈ADL状況−入所当時〉
 起座:一部介助/移動:車椅子(自力)
 食事:自力摂取/更衣:一部介助
 入浴:特殊浴
 排泄:昼− トイレ介助、夜−尿器
 性格:几帳面、頑固
 
 
【目 的】
 トランスファーの自立度を向上させ、ADLの拡大を図り、日常生活を活性化する。
 
 
【方 法】
1.週3回の起立訓練と平行棒内介助歩行訓練
2.起床、離床、トイレ介助時は、患側を支えるのみの最低限の介助とし、残存機能の維持、拡大を図る。
3.K氏のリハビリ状況、身体状態を配慮しながら、特殊浴から中間浴(介助)へ移行できるように援助する。
 
 
【結 果】
1. リハビリ開始後3ヶ月位までは、週1回程度と参加頻度も少なかったが、立ち上がり動作自立、平行棒内監視歩行レベルとなる。
2. 起床、離床時のトランスファーがK氏自身不安があったのか、職員に依存しがちであった。
3. リハビリ開始後4ヶ月が過ぎた頃、K氏から「中間浴に入りたい」という強い要望がある。職員2名とK氏で、湯の入っていないお風呂で入る練習をしたが、「湯が入っていれば、もっと滑る」とK氏にも不安が見られる。職員の声掛けと、空のお風呂での練習を3〜4回行った結果、特殊浴から中間浴(介助)に移行する。この頃より入浴日には誰よりも先に浴室へ向かうようになる。また、訓練への意欲も向上し、ほぼ毎日のように自ら訓練室に訪れるようになった。身体面での著明な変化は見られないものの、それまで職員に依存しがちであった動作(起き上がり、立ち上がり、移乗)が、ほぼ自力で行われるようになった。
 
 
【総 括】
 K氏は、家庭サイズのお風呂に入浴する事がきっかけとなり、自信がつき活動範囲が拡大した。老人保健施設は、急性期治療の終わった老人の家庭復帰への橋渡しを目的として存在する。施設内でより家庭に近い環境をつくりだし、在宅復帰するためのリハビリをすることが重要であると、この事例を通して確認できた。
 
以 上

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